足を踏んだらごめんなさい

社交ダンス初心者の備忘録

社交ダンスなんかやめてやる

世の中には多くの娯楽があるのに、私はなぜ好き好んで社交ダンスなどするのだろう。

なんだかむきになっているだけの気がする。

こんだけ練習したんだからそろそろうまくなるだろ!→やっぱりだめだった…っていうのを繰り返してるだけ。

費やした金と時間の分だけ元を取ろうとして深みにはまっていく。なんていうんだっけこういうの。

 

サンクコストというらしい。コンコルド効果とも。

「埋没費用効果 (sunk cost effect)」の別名であり、ある対象への金銭的・精神的・時間的投資をしつづけることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資がやめられない状態を指す。

コンコルド効果 - Wikipedia

 

あーこれだ。まさにこれ。

金銭的・精神的・時間的損失。最近特に感じるのは精神的損失。

うまくなる見込みはなさそうだと薄々わかっているのにやめられない。

一つ新しいことを教わるとわかった気になって試したくなる。もっと多くのことを知ればいつかうまくなるのではと期待して。

 

社交ダンスなんて上達過程はつらいに決まってんだから、その過程を楽しめなくなったらおしまいだよ。

もっと過程を楽しめるダンスがしたい。

誰より誰の方がうまいとか、何年目だからそろそろ何ができないとだとか、そういうのを考えなくていい場所でダンスしたい。

 

自分が一番下手に見える。そう思ってるのは私だけじゃないはず。

初心者同士で話していると感じる。この人も不安なんだろうなって。

そういう空気の中で、うまいとか下手とか関係なく楽しそうに踊っている人を見るとうらやましくなる。

この人はうまい下手とかいうくだらない次元にいないんだなって。

 

最近負のオーラがやばすぎて周りの人を引かせている自覚がある。

そりゃあ楽しくないもんな。踊るたび自分はここができないと報告してきたり、せっかくほめたのに卑屈になられたりしたら。

めんどくせえ女!って感じ。おじさんだって楽しい女の子と踊りたいよ。

でももう能天気のふりも疲れたよ…私だっていろいろ悩んでんだよ。バカみたいな顔してるけどさ。

 

まだ純粋にダンスが楽しかった頃、自分を守る壁を必要としなかった頃に、予期せず言葉の刃で傷つけられて。

それから学んだ。この世界では楽しそうにしてたらいけないんだって。

誰かに「うまくなったね」って言われてまともに受け取って喜んだら、別の人に「調子に乗ってる」って言われる世界なんだ…

じゃあつらそうに、苦しそうにしていれば叩かれないのかな。

だから今は人にけなされる前に自分をけなすという防御をしてしまう。

 

うまいねとほめられて喜ぶことの何がいけなかったんだろう。

別にほめられたからって他の人をけなしたり、あんたとはもう踊らないとか言ったりしてないのに。

なぜ私はあのとき傷つけられなければならなかったんだろう。

あの瞬間だけでも喜んでよかったはずなのに。その権利はあったのに。

 

やっぱり喜んじゃいけないんだよ。社交ダンスやってる人ってみんなそうだもん。

上手だってほめられるとみんなすんごい否定するんだよ。素直にありがとうって受け取ったらいけないの?

私もいつのまにかそうなっていた。始めたては足型を覚えて踊れただけで嬉しくて、ほめられるともっと嬉しかった。

最近はせっかくほめてもらっても、ちっともうまくなりませんとしか答えられなくなった。本当にちっともうまくならんし。

なんなの?腹が立ってきた。

 

だいたいなんだよそろそろ基礎はできないとだめだとか。大きなお世話だわ。

成長速度なんか人それぞれだろ。なんで外部が口出ししてくるねん。

歴でやらなきゃいけないこと決まってるようなめんどくさい習い事ならやめてやりますわ。

やめたら別にルンバウォークができなくても自分を嫌いにならずに済むし。

 

もうわかった。私が意地悪おじさんのせいでせっかく楽しいはずの成長過程で傷つけられたのは十分わかった。

でもそれはおしまい。いつまでもそんなやつのことを気にしていることはない。

そんな暇があったら他の場所で楽しい人たちとだけ踊ればいいし、むしろ社交ダンスなんかやめてもっと楽しい趣味でも始めたらいいんだ。

社交ダンスなんかやめてやる。